レポート

宿題を変えた石川小学校の取り組み

先日、こんな記事が新聞に載っていました。

流れ作業のドリルを使った宿題ではなく、自主的に課題を見つけ好きなことを勉強し「家庭学習ノート」を提出する秋田スタイルと言われる宿題方法に変えたと言います。

そんな石川小学校の豊田校長先生にお話を伺う機会を作って頂き、インタビューを行いました。

秋田スタイルを知ったきっかけ

私は祖父が秋田出身なんですよ。

それなもんで秋田には興味があって、例えば本屋さんに行った時に色々とありますよね。勉強方法って。

そこで「秋田式」って書いてあったのに目が行ったのは、秋田を身近に感じていたからかもしれません。

それをまず手にとって、宿題について見てみると秋田の学力の高さの秘訣は自主学習だという記述であったりとか「これはいいな」と思いまして。

あとドリルって、根本的に効果がないんですよ。

ただ、出来ない漢字を繰り返し練習するとか計算をするというのは一部では効果があることはあるんですが、今はドリルだけとか「ドリルをやってれば学力が上がる」というような風潮なんですね。

宿題にドリルを出すのは簡単なんです。



「今日は○ページやってきて」というのは簡単だからそれを児童がやって、先生が回収して丸をつける。という宿題をずっとやってきて疑問に思っているのが、日本が実はよくなっていないということなんですよ。

バブルが弾けたり、GNPが下がっていったりと世界が変わる中で、子供はドリルという宿題をずっと変わらずやっているんです。

世界は変わっているのに、日本だけなんですよ。教育がなんにも変わっていない。



教育を変えるには子どもから変えなくてはいけない。

子どもを変えるには、中学校高校大学で変えられるかって言うと難しいんです。

幼稚園とか小学校とか、そのくらいの子供のほうが変わりやすいんです。

なにか好きになって集中するっていう習慣で、私は幼稚園の園長も兼任しているんですが、そこで分かったことは幼稚園って遊びながら勉強するんですよ。

中学校になってしまうと受験があったり、高校や大学も入試が変わってきているから、同じように好きなことに集中できるっていうのが出来るのが小学校だと思うんです。

そんな風に、ドリルの宿題の効果がないのにそれに対して先生方が一生懸命に丸付けをして返している時間というのが、中休みや昼休み、昼食中や放課後にそれをやっていたりする。

果たしてそれだけ時間を使って効果があるのか?というとそんなに効果はない。

先生方が疲弊してしまって、他の業務ができないというのを目にするとそれをなんとかしたいと思っていました。

先生方の働き方を変えたいっていうのはすごく思っていて、ドリルだけでは学力が上がらないというのもあるし、先生方も自分の時間を(ドリル以外に)使ってほしい。

自分がまだ担任や教頭をやっているなかで「宿題は大変だ」という思いがあって、どこかのタイミングの中で宿題の見直しをしたいなっていうのがずっとあったんですよ。

学校全体で取り組んだからこそ変わることが出来た

先生の負担と、ドリル宿題の効果と、その2つがなんとかなれば「ドリル宿題やめます」という大きな宣言をした時に理解が得やすいと思います。

私のほうで手引を作ったんですが、そこに「ドリルだけでは学力はつきません」という部分と、家庭内でも協力してほしいということを書いたんですけど、今の所6割位が賛成してくれています。

それで修正しながら進んでいければいいかなと思っています。

今回新聞に載ったのは、たまたまある会議に出た時に新聞社の方が隣りにいて「こんなことをやるんです」という話をしたんです。

そしたら興味を持ってくれて「いつからですか?」と聞かれたので「今度の金曜日に保護者会があって話をして、そこからやるんです」ということを言ったんですね。

それまでに、先生方や学年主任さん達を集めて「校長先生がやるならそれは理解できるし、いいんじゃない?」ということと、PTA会長さんに聞いても「それいいんじゃない?応援するよ」とみんなに話をしていたんです。

で、新聞社の方が取材に来てくれて。

正直、ここまで大きく載るとは思わなかったんですけどね。

そうして新聞社の方に声をかけたっていうのは、自分の中で後戻りできなくしたのもあるんです。

言っちゃうとやるしかないじゃないですか。

あと、言ってしまえば話は大きくなるから、そうなったら、こっちは言い出しっぺなんだけど後はなるようになるじゃないですか。

大きな議論が起こったりだとか、そうやって話題に上るのが狙いでもあったんです。

結構新聞に載ってからもドキドキしましたよ。

もちろん不安もあったんです。

宿題やめると言っても今までドリル宿題をずっとやってきているし、急にそれを変えるっていうのもどうかなって思う人が多いだろうなとか、自分の中でも説明をするためにここまでかかってやっと理屈っぽい話ができるようになって説得できるくらいになったり、年号が変わったというのとか、色んなことが絡み絡んでGOという流れになって。

先生方の色んな考えを聞いたりだとか、若手の先生の話を聞いたりだとか、そのあたりは自分の中で力になりましたね。

私が自分ひとりでやってきたというよりは、先生方の意見を聞いて、先頭に立ってやってはいるけども石川小全体で取り組んでいるイメージはあります。

保護者の理解

保護者の方へは、保護者会を設けて話をしたんです。

プレゼンをして、その中で「質問があったときには校長の私が答えます」と宣言してHPでアンケートフォームを作ったんですが、書いてくれるんですよ。

それに対して私の方で返信をして、賛成の意見もあれば反対の意見もあって、そこで改善点を見つけてまた1月から始めて、より良いものを4月に提案して正式にスタートできればいいかなと思っています。

今は試行期間ですが、その中でもいろんな課題が見つかってきているので修正すれば上手く進められるのかなと。

地域全体が意識を高める大切さ

豊田校長先生にたくさんお話をいただきました。

校長先生自ら、小学校HPをマメに更新されており、自主学習についてこのような記事もあがっていました。

一年生が自慢のノートを持ってきてくれました



また、HPでの保護者とのやりとりや経緯などもまとめてあるそうなので、こちらも御覧ください。

いしかわスタイルに関する資料、記事の一覧

まとめ

豊田先生は、最後に

「校長がやり方を変えよう!と声を上げてもワンマンになって終わってしまう。石川地区はもともと団結力が強く、昔からおやじの会ならぬげんこつの会というのがあって地域が学校に協力的でした。それを聞いて、そういう地域なら安心して子育てできるとわざわざ転校してくる家庭もあります。今回も地域の方の協力がなければうまくいかなかった。だから、地域が元気というのはすごくありがたいことなんです」

とおっしゃっていました。

校長先生だけが声を上げるだけではダメ。そこには支える先生と、保護者と、地域の力が必要でどれが欠けてもうまくいかない。

よく「学校のしくみがかわればいいのに」と言いますが、地域の意識が変われば学校を動かすことが出来るということを教えて頂きました。

地域とは、そこに住む家庭一つ一つのこと。

一人ひとりの意識が高まれば、今までの「当たり前」や「常識」は変えられる。

だからこそ、こんな町にしたいという夢をもっと、私達住民が共にお話する機会を持ったり意識を持つことが大事なのだと思いました。

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